2025年8月1日金曜日

Stratocasterのリアピックアップのトーン

Potの最終話です。


先日Jack PearsonYouTubeを見てたらストラトのリアピックアップにトーンを付けてるって言ってました。この改造をしてる人は結構いると思います。でも僕はJackの動画を見るまで知りませんでした。


知人に聞いたらミドルのトーンをリアにも効くようにジャンプ配線してると言ってました。なるほどこれで3ピックアップをカバーするんだって、でもここでちょっと思ったんです。フロントピックアップのトーンって絞るかな?って、テレキャスターもそうですがフロントのトーンを絞る機会はほとんどないですよね。じゃあトーンいらないんじゃない?外したほうが高域がでるし。


早速最近お気に入りのHollyのストラトで試してみます。トーン回路を一つずらしてミドルとリアに移植。


うん、これありかなー、結構いいかんじになりましたよ。フロントはもちろん抜けがいいしリアピックアップの耳に痛い部分が削れて扱いやすくなりました。これはありですね。興味がある人はお試しあれ!

合成抵抗値でポットの抵抗値を変える

Potの話その2です。


二つの同じ抵抗を並列につなぐと抵抗値は半分になる、このことを合成抵抗値というそうです。何の話かというと74年製のテレキャスターカスタムのオリジナルの1MΩPotをパーツ交換なしで250KΩにしたいというお話です。


先日断線したリアピックアップをフロントのWide Range Humbuckerに出力を合わせてJunToneさんでRewindしてもらいました。そこで指摘されたPotの抵抗値、音がキンキンするのは1MΩのせいですよと、前にも書いたようにフロントのWRH1MΩとの組み合わせでちょーどいいんですが、リアのシングルのPot250KΩがいいですよね。


やっぱりオリジナルのパーツ交換はしたくないのでどうにかならないかなと思ってネットサーフで見つけました。1MΩPot1番と3番に1MΩの抵抗を繋げば500KΩになるんですって、でもせっかくだから250KΩにしたい。計算式はR1R2/R1R2だったので、これに当てはめると1MΩPot330KΩの抵抗を足すとPotの数値は248KΩになります。これが一番250KΩに近い。単純にPot1番と3番に330KΩを半田するだけなのでとても簡単です。




出音もいい感じに落ち着き扱いやすくなりました。これはちょー簡単!お試しあれ。

Potとシグナルの高域成分

今回はPotにまつわる3つの話です。


で、その1。いろいろな人が言っている事を考察するとギターのポットを全開にしてもピックアップで拾った信号はPotの性質上高域成分がアースに逃げるらしい。


この割合はポットの抵抗値によるようで、一般的なシングルピックアップで考えると以下の様な解釈になるのかな?

Telecasterを参考に以下の組み合わせを考えてみました。下に行けば行くほど高域が出力されます。





 

Vol                      Tone

250KΩ               250KΩ           


一般的なシングルPickupはこの組み合わせ、これがTelecasterDefaultです


250KΩ               1MΩ                   


最近気に入っている組み合わせ、適度にVol Potでハイ落ちした信号をトーンでロス少なく出力するイメージ


1MΩ                   250KΩ               


ハイ落ちしてない信号をトーンPotで整えた感じ


1MΩ                   1MΩ                   


一番ハイ落ちしない組み合わせ、キンキンになる場合があります

 

250KΩのPot500KΩや1MΩよりも抵抗値が低い、抵抗値が低いのでピックアップの信号はアースに落ちやすい。逆に1MΩは抵抗値が大きいので信号はアースに落ちにくい。


ピックアップを変えると当然音は変わる、コンデンサーでも音は多少変わる、そして当然このPotでも音は変わります。

 

極端な話ポットを通さずに直に出力をジャックにつないだ場合は何もロスがなくピックアップの音が出力される、この場合リアピックアップなどの高域成分を多く含む信号は結構耳に痛い音になりやすいですね。


個人的にはボリュームとトーンポットを通ってある程度ハイ落ちした出力が一番自然だと思うけど、


実際60年代後半から70年代はハイファイ時代でTelecasterには1MΩx1MΩのコンビネーションでPotが搭載されていました。自前の68年のThinLineVolTone共にStackpole製の1MΩが搭載されています。


ThinLineの場合、箱なり感が程よく高域成分とマッチしているのかバランスはいい気がします。

2025年7月11日金曜日

Holly Splendor Series 通販ギター



直訳するとハリーの素晴らしい系列。70年代後半から80年初頭に雑誌の広告によく出ていた二光通販のエレキギター&ベースです。2023年から2024年にオークションで入手。

ボディーはべニア合板、ネックの材は謎です。ぶつけたらべっこりへこんだのでかなり柔らかい木材だと思います。あまり使われていなかったのかフレットのヘリもなく大きな痛みはありません。特に目立った痛みはありません。



ラージヘッドのストラトはブラックボディーにメイプル(ではないが)ネックというJimiやGilmore、Ritchieを思い起こすルックスです。

ペグブッシュがスカスカだったので交換、そしてブリッジが非常に使いにくかった(弦交換が困難)ので汎用の10.5mmピッチのものに交換。そのついでにナットも牛骨ナットに交換しました。そのせいもありサスティーンもピッチも非常によくなりました。ちゃんと調整すれば全く問題ないですね。

このストラトはミディアムスケールなので10-46を張ってちょうどいいです。手の小さい自分にはとてもしっくりくるスケールです。ネックのそりを調整してから弦高を2~1.5mmに調整します。ネックが太いですが、とても弾きやすいです。

ピックアップとコントロールサーキットはオリジナルのままです。理由はピックアップのサイズが現行品とは合わないからです。ピックガードごと交換するのもありなんですさすがにそこまではと思いオリジナルをキープしています。特に問題もないので、このままで十分。



PBは娘のライブ用に手に入れました。彼女が好きな近年のRoger Watersが使ってるブラックボディーにメイプルネック(これもメイプルではなくストラトと同じ材)仕様。正確にはピックガードは1 plyが良いんですが、



この個体も特に不具合はなくネックのそりを直した程度です。弦高はビビるぐらい低めですがとても弾きやすいです。出音はビビらないのでオッケーですね。

両個体に共通なんですがなんとなく全体的にどこか不格好、コピーの制度が低いのでスケール感がどこかおかしいんです。PBはヘッドが小さいし、ストラトヘッドが大きくボディーのどこかが変です。でもこの感じ、今となってはとても愛らしいですね





70年後半のとてもチープな楽器なんですけど、ちゃんと調整すれば結構使える楽器になるんですよ。

近年は楽器の値段も上がり高級志向になってますね。造りの良い高価な楽器はよい音がして当たりまえです。そんな時代にこの手のジャンク楽器で良い音を出すのはとても楽しいですね。逆にこの個体でしか出ない音がある、なんてことも起きるかもしれません。

2022年12月2日金曜日

Fender Wide Range Humbucker Pickup オリジナルCUNIFEの解体とG&B製


最近巷で話題になっているFenderWide Range Humbucker(以降WRH)は、1990年初頭にハワイでボロボロの73年のTelecaster Deluxeを手に入れてからの付き合いになるのでおおよそ30年経ちますね。当時はどういうものかよくわからず使っていましたが、入手のきっかけはやっぱり見た目です。Walnutボディーに黒ピックガードにマウントされたWRHは最高にかっこ良かったんです。


一度このWRHは断線したことがあってリペアを頼んだことがあるのでばらしたことがあります。断線時の差し替えに用に知り合いにもらったスペアのWRHがあるんですが、今回解体して観察することができました。シールド線が短いのでリアに搭載されていたものでしょう、そうなるとDeluxe2nd GenerationThinLineですね。なかなか当時物の中身を見ることはないと思います、せっかくなので記録に残したいと思います。


裏面のスタンプの下二桁が74と読めます。74年製?

まずは半田を外してメタルカバーを外します。ベージュのボビンにCUNIFEのポールピースが互い違いに3個ずつ裏返しに搭載されています。シールド線の赤いホットがボビンの端子に繋がっているのが見えます。ボビンの下にプレートが入ってました。ロウ漬けされた気配は有りません。

見えにくいですが反対側のボビンとはグレーのジャンプ配線でつながっています。
コイルボビンはプレートを挟んで4つのマウントビスで止められています。
ボビンにはパーツナンバーと思われる010194の刻印

コイルのコールド側はメタルプレートに半田され、シールド線はプレートを通して通電している。

洋書のテレキャスター解説書にはフロント、リア共に以下の通りスペックが記載されています。



Wire: 42GA

Turns: 10000(Average) Both coils

Magnet: Cunife

DC Resistance: 10.6kΩ Both Coils

 

その説明にはSeth LoversはWRHの開発にあたりGibsonのハムバッカーよりもFenderに合うようブライトで高域にピークを持たせることに執着しマグネタイズドポールピースを使用したと記載があります、ここで登場するのがCunifeCopper-Nickel-Ferrite)といわれる合金マグネットで、それをねじ切り加工したポールピースマグネットは一般的なバーマグネットより磁束場が狭くなるため周波数特性が低く、より高域寄りのピックアップになるようです。

専門的なことはよくわかりませんがこれがWRHの音を構成する要素なんですね。

さあ手持ちの物はどうでしょう?といってもコイルの抵抗値だけしか測れませんが...

抵抗値は室温で変わるので念のため室温21℃です。

結果は左右のボビン共に5.24kΩで合計10.48kΩ、綺麗に左右で値が同じでした、こんなことってあるんですね。ここまできれいに合わせる必要はないのでただの偶然だと思いますが、

そして70年代当時このWRHは全て1MΩのPotVolTone共に)との組み合わせでマウントされています。ご存じの通り値の大きなPotほど高域成分がアースに落ちにくく失われにくい特性があります。以下は73年のTelecaster Deluxeのポット周り。すべてオリジナルの1MΩPotが使用されています。

そう、PickupPotにもFenderらしさを演出する秘密があったんですね。WRHFenderにマウントする場合1MΩPotは必然です。勿論好みがあるので一般的なハムバッカーのように500kΩもありです。ただその場合WRHらしさは出ないかもしれませんね。

 

おまけになりますが現行のG&BWRHも計測してみました。これはSquireStarcasterに搭載されているものですが、多分現行のFenderCunife以外のWRHはすべてこれじゃないかと思います。

 


計測したところFrontRearで以下の通り違いがありました。抵抗値だけを見ると巻き数を抑えて音抜けを良くしているのかなと思います。こちらも当然ですが1MΩポットとの組み合わせると少し本家のOriginal WRHのようなワイドレンジ感は近づきます。気になる方は是非試してみてください。 

室温20

Front: 7.76kΩ(3.97k+3.8k

Rear: 8.47kΩ (4.28+4.22)

ということでなかなか面白い観察ができました。

Alexander Pribora Guitar Pickups



ヤフオクパトロールで見つけたロシアの手巻き(スキャターワウンド)Pickup

スキャターワウンドしたものは音抜けが良く倍音が多く出力されるようです。早速HPを探してみるとCream Tele Set$82とあります。しかもInternational Shipping$5のフラットレート、素晴らしい! しかもフロントのピックアップカバーがオープンタイプ。PayPalが使えたので安心してオーダー(20217月時点)

 

フロントのピックアップカバーのトーンへの影響がわかった直後の発見だったので期待は膨らみますね。

International Orderだとだいたい2週間ぐらいで届くんですがなかなか届きません。メール連絡してみたんですが返事なしで結局オーダーから2か月かかりました。

結論、このピックアップいいです、音抜けもよく非常に好みの音でした。

 

残念ながら今は昨今の事情から購入通貨がドルからユーロに代わり値上がりしてしまった様です。今は同じCream Tele Setが€129Shipping Feeも€9になっています。


それでも興味のある方はサイトをのぞいてみてください。

https://www.priborapickups.com/


2022年11月10日木曜日

JUN TONE Pickups 断線ピックアップのRewind

前から気になっていた1974Telecaster Customの断線したリアピックアップ。何とか再生したいと以前から考えていました。そこでたまたまネットで見つけたRewindやリペアもやってくれるJUN TONE Pickupsさん、早速連絡して見積もりしてもらいました。




ついでに崩壊しかけたボビンのTexas Specialのフロントピックアップも一緒にリワインドしてもらうことにしました。1弦がわのポールピースが抜けてしまっていてピックアップの抵抗値もばらけて数値が落ち着かず状態。

 


74CustomのリアはフロントのWide Range Humbuckerに合わせて出力を調整してもらいました。42ゲージのエナメル線を9500ターンで約7.5kΩ。ポッティングしなおしてもらったのでボビンがきれいになりました。


Texas Specialのフロントはボビンのボトムを交換、42ゲージのエナメル線を8000ターンで約6kΩ。オプションにあった穴あきピックアップカバーを選択。少しポールピースを弦側に出してもらいました。ちょっとストラトキャスターを意識した感じですね。



フロントは一度ポールピースの極性の修正と再度巻き直しがありましたが、どちらも注文通りに仕上がって満足してます。


ピックアップのリワインドって結構高いんですよ。でもJUN TONEさんは非常に丁寧で良心的でした。

https://jun-tone.easy-myshop.jp/